KAJILESS

家事をレスに。

淘汰された100の物たち72【配置薬を返納】業者も医師も薬剤師も国も、患者に薬を与えるだけ与え、家族に管理を押しつける。

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医師も国すらも、薬を管理できていない現状。
それなのに、患者や家族にばかり賢くあれと言われても…

配置薬や多剤併用のすべてに問題があるわけではありません。配置薬は心強いし、私たちも問題意識は必要です。

しかし薬を出すだけ出して、弱った患者や家族に運用を期待するのはマズイでしょ?
せめて多剤併用の害がCMで流れれば良いのにね…

 

薬は主食ではありません

嫁ぎ先には配置薬が2箱ありました。2社と契約し、義母が鎮痛剤を多用してはかなりの額を支払っていたのです。これでは危険(体も懐も)。

数年をかけ、やっと業者に返納することができました。

まぁ年配の方ならよくあることです。しかし義母の飲む量は多すぎた。週に何度も通院し、各病院で処方された薬を飲むうえ、配置薬も常用していたのです。

嫁の私がヤイヤイ言ったところで、天下のお医者様にゃ勝てません。あっちの内科医、こっちの心療内科医、眼科に耳鼻科に整形外科医の薬まで。

というか、整形外科に診察した足のむくみは、きっと薬の飲みすぎだよ…

なのに、重ねて処方された利尿剤を飲んでお茶飲んで、不眠の頭痛で鎮痛剤を飲んで、さらに頭痛になるのです。

( ゚Д゚)

私に一体どうしろっていうのさ…

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残薬が年間874,400,000,000円

ポリファーマシー。それは多剤服用。
それに伴う残薬(飲み残し)も大きな問題です。以前はさかんに報道されたけど、最近は静かです。しかし今も、多剤服用は全国で起こっている問題です。

その数字がこちら↓

調剤医療費の増額化は著しく、2009年度時点では5兆8,695億円だったのに対して2015年度には7兆8,746円となり、ここ6年のうちに2兆円近くも増えたことになります。(みんなの介護より

ジェネリックが浸透しても2兆円。
そして過剰配給による残薬(飲み残し)は↓

年間約8744億円の残薬薬剤費の可能性があると推計(医療保険財政への残薬の影響とその解消方策に関する研究(中間報告)より

 

( ゚Д゚)¥874,400,000,000...

 

実際は100億円からと幅があり、複数の計算者に依るのであくまで推計。なおかつ27年の中間報告ですが、厚生労働科学特別研究だそうです(厚生労働省かと思ったけど違うの?)にしたって百億。埋蔵金です。

そして今年5月、厚生労働省より「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)について」が各都道府県に通知発出されました。

でも、周知されているとは感じません。CMでも過剰に流せば、一瞬で私たちを洗脳できるのにね。今、流れているCMは風邪薬ばかりです。

 

薬でボケた祖母、介護する母の苦悩

義母の鎮痛剤依存で困っていたころ、実家では祖母の認知症が悪化していました。

頻尿や誤飲、ふらつきや嚥下障害…

食べ物を何度も喉に詰まらせて苦しみ、しょっちゅう転んで起き上がれない。オムツを嫌ってトイレもベッドもお風呂も汚し、情緒も安定せず、幼児返りしてゆく。

介護する母にも、大きな負担が強いられます。

毎日のトイレ掃除に風呂掃除、大量の洗濯物。起き上がるのを介助して腰を痛め、夜は祖母の起きる気配を探りつづけて不眠となる。ガンを抱えながら。

そんな日が2年ほど続いた、とある日。

検診に引っ掛かったか医者か指針が変わったか、何かの拍子に薬が減ったとたん、症状が消えて昔の祖母に戻りました。

原因は睡眠導入剤でした。

 

母は、祖母の体調にも薬にも無頓着ではありませんでした。むしろ真剣に、医師に祖母の症状を訴えていたのです。

それが仇となり、薬がどんどん強くなり、増やされた結果の認知症。

でも、こんなケースは「たまたま体質に合わなかった」で済まされます。
患者や家族がいくら努力したところで、報われることはありません。

 

祖母の介護から解放された今も、母は不眠が続いています。しかし、いまだに睡眠導入剤を飲むことができず、苦しんでいるのです。

 

患者や家族に賢くあれと言われても

私は、安易に子どもに薬を飲ませたくありません。発熱や咳が続けば受診し処方していただきます。市販薬で買ったものは、遠足のときの酔い止め程度。

薬は命に関わるからこそ、怖れなければ。
効くからこそ、プロに処方して貰わねば。

飲み忘れたら、勿体ながらず処分せねば。
もし余ったら、薬剤師に申告しなければ。

なにより薬を大切にして、飲みきらねば。

そう考えています。

衰え病気になれば、薬は必要です。新薬は難病の方の生きる希望となります。私も薬を飲みます。先日は帯状疱疹の新薬に助けられました。

薬が悪いわけじゃない、解ってはいるけれど。

私は薬が怖いです。
祖母や義母を見てきたから。
私も母も、それで苦しい思いをしたから。

義母のような依存も怖いし、医者の処方だと言われれば何も言えない。しかし従ったとしても、祖母のように壊れることもある。

それなのに、患者や家族が賢くあれと言われても…
お薬手帳を持ち、ちゃんと飲み、残薬を管理して…

それ以外、私達に一体なにができるというの?

 

私たちは家族を守りきれませんでした。家族が止めても薬は社会に溢れ、常に与えられる。

医師も業者も薬剤師も国すらも管理できないものを、患者や家族に管理させるなんて、無謀なことではないでしょうか。

 

多剤服用は日本国の現代病

「勿体ない」という日本人の美意識だったものが、今の日本を蝕んでいます。その最たるものが残薬だと、私は考えます。

薬の過剰配給は、これまでの日本を潤しました。しかし今、財政圧迫という重篤な副作用が出ています。

このまま薬を投与すれば、人の様にアレルギーになったり、アナフィラキシーショックを起こすかも。

いや、もう遅いのか…

薬を増やし、寝たきり老人を増やし、介護者を増やし…病院を、介護施設を、介護保険を増やし、残薬を垂れ流して税金を増やす。

既に日本は、我が身を思って我が身を攻撃する、免疫不全に陥っているのかもしれません。

 

 

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