兼用・代用で物は減る!淘汰された100の物たち—5個目
淘汰100(略)の5個目はネイルグッズです。ガサツでおしゃれが続かないと思っていたけど、どうやら違ってた様子。
白魚の手にあこがれて
ぶっさいくな爪がコンプレックスです。
顏は鏡を見なきゃ済むけれど、指は常に目に入る。でも、マニキュアも続かない。楽しめばいいのに、私の場合は粗を隠そうと躍起になるからつまらない。
強い色では形がばれるし仕事に障る。薄い色では爪先の白い部分が隠れない。ささくれも治らずリムーバーはしみる。地味な色を塗っても全然カワイくないし、むしろ老けて見えてくる…
( ゚Д゚)キィィィイ
それでも結婚後、ジェルネイルにハマった時期がありました。
便利だったんです。ヌードカラーの単色塗りで、ビジューも何も付けないから遠慮はいらない。簡単に硬化するし魚もガシガシ捌けるし、爪裏の汚さも見えないし、爪ブラシでゴシゴシ洗えるしで、酷く粗雑に扱っておりました。
そんなあるとき、爪から鈍痛が。
ネイルを剥がしてよく見たら、爪が赤ちゃんみたいに薄くなっている。
( ゚Д゚)ヒィィィィィ
爪を休ませ、様子をみて再開しても痛むので、ジェルネイルは半年で断念しました。
母も母で、UVライトを当てた爪が剥離して白くなり、激痛が続いて通院したそう。親子でこれじゃぁ、爪の弱さも形も遺伝だし、どうしようもないのかな。
それともやっぱりズボラなだけかな、ガサツだなぁ…と自分が嫌になったのでした。
自分はガサツだと思ってた
その後は子育てに介護に忙しく、なりふり構わぬ日々が続きます。断捨離も強行し、さらに自分を忙しくする日々。
片づけの最中は荒れ狂う感情の中に居ましたが、物が減ってゆくにつれ、自分の感情を眺めることができる様になっていきました。
そこで気付いたのは、私は『自分を甘やかしてない』ということ。
甘やかし=だらしないイメージですが、そうではなく『自分を大事にしていない』という意味で。
たとえば、ホチキスの針を歯で抜いて歯が欠けたり、タグを食いちぎって出血したり、爪をプルタブに引っ掛けて割ったり、爪ブラシで擦っては爪の白い部分を増やしたり…
恥ずかしいけどそんなことばかり。
でも、心身を整理するにつれ、これがズボラやガサツといった性格ではなく、理由があることに気が付きました。
自分にだけガサツなだけ
私には、そうやって自分自身を粗末にし、貶め、蔑む傾向がある様だ。
なぜなら、抜けててズボラな自分でいないと親しまれない。ガサツで卑下しないと嫌われる。お高く留まっている、ワガママだとなじられる、という不安があるから。
気付いて愕然としました。
そんな行動原理が、自分の中にあるなんて…
だって、普段から「私バカだから~」とあからさまに卑下していた訳ではないのです。むしろ卑屈なのは自覚していたので、程々であろうと気をつけていたほど。謙遜も過ぎれば嫌味になるし、相手も引くしね。
ある程度の世辞はお互い受けたり流したり、大人の付き合いってそういうものだし、できていると思ってた。
なのに、遠慮のいらない自分自身は粗末にしていた。ズボラとかガサツとか、たぶん性格じゃない。
自分を大事にしない、という選択をしていたんだ。
ガサツの根っこ
「物を減らすと自分が見える」と言うけれど、まさかこんな自分が見えてくるとは。確かに腑には落ちたけど、ドン引きしたのもまた事実。
( ゚Д゚)エェ…
見捨てられ不安とかセルフネグレストてやつ?
いやいや、そんな病的なもんじゃなくて『ネタにしなきゃ』感というか…
などと自分に言い訳していたら、突然、とある社長さんの疑問を思い出しました。
事務員が派手にすっ転んだと思ったら、すぐ立ち上がり面白いことを言い始めたそうで、何故か取引先の私に聞いてきたのです。
『痛いなら痛がればいいのに、なぜ強がる?若い女の子が、なぜ芸人じみた振る舞いをするんだ?』
なぜ私に?と思いつつ照れ隠しでしょうか、と答えた気がします。若く浅慮な昔の私には、社長がなぜ疑問に思うかすら判りませんでしたが…今思えば多分、今の私が自分に感じるような違和感を感じたのかもしれません。
ピエロを演じて強がる卑屈さ。傷つくことを極端に恐れる臆病さ。照れや恥じらいの裏にある、自分も他人も信じぬ頑なさ。そんな本人も気付かない奥底の異質な感情を、見抜いていたのかもしれません。
その事務員も、私のことすらも。
ネイルケアよりソウルケア
社長との会話を15年以上も覚えていたということは、私自身にも引っ掛かりがあったのでしょう。今になってようやく、ある種の答えを見出しました。
遅すぎです。もう花の20代はもう還らない。
20代は傷つくことを恐れ、30代は傷ついてることにマヒしてた。
ネイルもそう。20代にマニキュアで隠しては、30代でジェルネイルで強くなったと勘違い。そして酷使の果てに、40代の今は爪も弱り、指も体も痛めてしまった。
手を酷使できない状況になった今になって、遅まきながら「お手入れ」を始めています。といっても簡単なこと。甘皮を手ぬぐいで取ってハンドクリームを塗るだけ。爪でプルタブを引っ掛けたり段ボールを開けないだけ。
それだけで、爪は若い時よりキレイになりつつあります。
結局、自分で自分を粗末にしていただけ。
そして自分で自分を卑屈にしていただけ。
卑屈なのは自信が無いから。
自信がないのは自分を愛していないから。
そして自分を愛するにはお金をかけることでも、誰かに認めてもらうことでもない。
ただ地道にいたわること。
そんな当たり前のことを、手にクリームを塗りながら実感する42才です。
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