兼用・代用で物は減る!淘汰された100の物たち—2個目
淘汰された100の物たちー2個目は急須です。
いまだ茶飲みの私ではありますが、徐々に急須を使わなくなりました。
茶飲みの一族
昔なつかし昭和の時代。我が家は茶飲みでした。
小さな店にたまに客が来るとき以外、祖母は茶の間が指定席。
祖母の席の左手にはポットワゴンがあり、いつでもお茶を供せる状態でした。
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ポットにお湯を満たすのは私たち、来客や食後のお茶は祖母。毎食後、みな緑茶をご飯茶碗で2杯は飲んでいました。
さらにお釜の予洗いで、ご飯粒やおこげを落とすのも、緑茶。ご飯粒やおこげをふやかしては、捨てずに祖母が食べていました。ようはお茶漬けだけど、お茶の渋みでご飯の甘味が増して美味しく、祖母にねだって食べさせてもらった記憶があります。母もそうだし今は私も、お釜を洗う前に緑茶で予洗いをしています。
貧乏臭いと思われるでしょうけど(まぁ実際貧乏だけど)、祖母は16,7才のころ、太平洋戦争で米を守って死にかけたことがあるそうです。ご飯を炊こうとしたら空襲警報が鳴り、米を放置できずに姉と家にとどまり、絨毯爆撃を受けました。
行商から防空壕に避難し家族と合流した曽祖父は、娘二人を喪ったと覚悟して家に戻ったそうです。家はボロボロだったものの、幸い九死に一生を得たそうですが。
私たちが小さいころに祖母の実家で、玄関の土間の複数のくぼみが爆撃の銃痕だと叔父に教えられ、驚いたことを覚えています。
その家も祖母の姉も、7年前の津波で流されてしまったけれど…
そんな過去もあって、祖母はご飯粒を捨てずに、大事にお茶で食べていたのかもしれません。祖母はチリ地震津波で家が流されたことも、戦争のことも語ろうとしませんでした。唯一聞けた話がお米の話だったので、余計にそう思ってしまうのです。
茶飲みの悩み
独立して自分でお茶を入れる様になると、とある問題が問題が生じました。
( ゚Д゚)メンドイ
そう、茶葉の処理がめんどい。
祖母は色々な形の美しい急須や鉄瓶を集めて飾り戸棚に飾っていました。たまにねだって使わせてもらう程度であれば楽しい体験でしたが、これが日々数回の作業となると面倒くさい。
かといってペットボトルのお茶では物足りない。淹れたての濃いお茶が飲みたい。熱くて渋いお茶が飲みたい。
あれだけ思い出を語っておきながら、面倒なもんは面倒なのです。
かくして、ぶうぶう言いながらお茶を淹れ、急須を洗い、茶こぼしを洗い、三角コーナーを洗い、と昭和の時代の習慣通りにしていたのですが。
茶飲みの断茶離
時は平成。
結婚し妊娠・出産し、義祖母も亡くなり、義母は鬱で寝るばかりの日々となりました。年寄りが常駐していない状態のポットを、赤子の手の届くところに置いてはおけないので、義祖母の席にあったポットワゴンを遺品整理しました。
ポットワゴンって、茶の間があって、こたつがあって、茶飲みのお年寄りが定位置にいて、生きる道具ですね。
こたつも無い、年寄りもいない、客も無い。そんなリビングで使う機会はない。さらに今は私がお茶を淹れる身。めんどいと言っていられない。
なら手を抜こう。
遺品処理し、徐々に物が減っていく中、物の見方や考え方もシンプルになっていきました。
急須なくとも茶飲みは茶飲み
最終的に、写真のようなガラスポットになりました。フタの口径が広く、茶こしも簡単に取り出せて、注ぎ口もオープンなタイプ。
私の場合は100円ショップで見つけました。さすがアテクシのメゾンDAISO…
割とどこにでもあるデザインで、月並みでしょうがつまり普遍的。
洗いやすく乾きやすくニオイもつかない。
コーヒーも緑茶も紅茶も、ホットもアイスも対応でき、便利です。私はひつまぶしのお出汁や、冷やし中華のタレにも使っています。
そして何より、茶葉の処理が簡単。茶こぼしも三角コーナーもそれに付ける網も必要なくなって楽になり、逆にお茶を飲む回数が増えました。
美しい急須で丁寧に淹れたお茶は格別です。
でも今は、数年前に亡くなった祖母を思い出して辛い。職場などで武骨な急須を使うのは問題ないのに、美しい急須を見るとしんどいのです。母も、実母だった祖母の急須を手放しました、見てるのが辛かったみたい。
当面はこのガラスのティーポットを使うつもりです。 たまに(しんどいな)って思うけど…全て断ち切るのもひとつだけど、形をかえて続けてもいいんじゃないのかな。
いつか、穏やかな気持ちで懐かしみながら、美しい急須でお茶が飲めることを願っています。やっぱり濃い緑茶は好きだし、緑茶ご飯も私のご馳走だから。
なにより、緑茶ご飯の良さを娘が解ってくれるのが妙に嬉しい。二人でたまに食後に食べてると、夫も息子もマジか…って顔をしますがね。
我が家の茶飲みは祖母から母、私そして娘へと受け継がれている様です。
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