淘汰77【さらばルンバ】人生も思い出も過去も物も、手放す苦痛は本人しか解らない
今回、私は親のルンバと共に何かを手放し、親への大事な何かを得たのかもしれません。
さらばルンバ
頂き物というけれど、実は買い替えで余った品でして。
バッテリー交換に始まり、壊れては修理し、売ろうと清掃してまた使い…と6年間グダグダ悩み、とうとう壊れて手放したのです。
私は少ない物で暮らしたいけど、気楽にポイポイ捨てれるわけではありません。物に感情をかなり引きずられる人間で、だから悩みながらも意識的に物を減らしているのです。ルンバだって手間ヒマかけたし、廃棄も本当に苦痛でした。
でも、(しなきゃいいのに)親に故障と廃棄を報告したら、残念がられましたとさ…
物に引きずられる様子↓
勿体なくて自縄自縛
良かれと思って譲ってくれた訳ですし、この機会がなければ私は高級家電を使うことは無かったでしょう。
でも、「捨てるか修理か」の2択に始まり、夫に申し訳なく思いつつ手間と金をかけ、それでも沈黙を繰り返すルンバを前に、何度逡巡したことか。
だけど、『震災』で『遠く』に引っ越した『病気』の『老親』から『譲りうけた』もともと『高価』な『高級家電』。これだけのパワーワードが積み重なると…
勿体なくて自縄自縛。
6年、親も含めれば8年近く使っても、廃棄は残念なのでしょう。解るよ、解るけど、私だってこんなに悩んだのに。
残念がるなら自分で修理して使い切って、自分で捨ててよぅ。
そう言いたい。言わないけど。
( ˘•ω•˘ )
親の片付けを手伝ったものの
というのもこの数年、片付けと称して母が送ってくる物を処分していたのです。
震災で引っ越したうえ実母を亡くし、鬱で不眠が続く母。片付けが運動やリハビリ、気分転換になればと思っていました。
いずれの品も保存状態も質も良く、寄付すら勿体なくて悩む日々。私自身がいただいた品もあります。物持ちの良さも良し悪しですね…
荷物が届く頻度も減ってゆき、片付けも一段落かとホッとしていたのですが、久しぶりに帰省して驚きました。
減ってない。
( ゚Д゚)ナゼ
玄関収納は天井までギッシリ、その脇に段ボール。洗剤はむしろ増えている。食器類は特に膨大で、引き出しの開閉もままならない。
かつての実家、一戸建の巨大な飾り戸棚に収めてあった来客用の食器セット数組も、私達の幼児用メラニン皿も。あの布巾は小学生、このプラのクリップもスプーンも中学生の頃には有ったはず…
そしてそれらは清潔に保たれ、未だ使われているのです。私ですら懐かしい物達に囲まれ、そして実感したのです。
これはもう引き際だ、と。
手放す苦痛は本人にしか解らない
片づけには過去にケリをつけたり、自分を見つめ直す力があるかもしれないけれど、自ら「変わりたい」と願うのが前提条件かもしれません。
私が良かれと思っても、親が不便を感じていないなら余計なお世話。まだ若い世代が未来を夢見て片付けるのと違い、親世代は老い支度、ひいては自身の人生の終焉の準備なのだから。
親が物を手放すのがどんなに苦痛か、私には解りえません。
私がルンバを手放す苦痛を語っても、親には伝わらないように。
人生も思い出も過去も物も、手放す苦痛は本人にしか解らない。
それを肌で実感したのです。
これはもう引き際だ
これはもう引き際だ。片付けて「暮らしやすく」とか「元気に」と願うのは、もう止めよう。
母は、自分の服は手放せても、子どもの食器は手放せない人なのです。
昔から、色んな洗剤で掃除や洗濯をするのが習慣になっているのです。
懐かしい物達をキレイに手入れしているのです、量は多すぎるけれど。
懐かしい品々に囲まれ、それが温かみや安らぎを与えてくれるなら。私の願いなど傲慢で負担なだけだ。
転倒の危険を考えれば片付けたいけど、足腰の鍛錬にはなるかもしれないし…?
心配で仕方がないけれど、とりあえず一旦引こう。
そう思ったのです。
寄り添い方を変えるとき
先日、久しぶりに荷物が届きました。カードのポイントで交換した立派な品で、一度だけ使ってみたそうで。
裕福ってわけじゃないのに…
ポイントは金券に交換したら…
そちらで換金したらいいのに…
送料だって勿体ないのに…
色々言いたくなるけれど。
でも、当然そんなことは承知の上で、それでも選んで使っての非日常を楽しんで、ワクワクのお裾分けを贈ってくれるのです。送料をかけてまで。
「ありがとう」
きっと、この言葉だけが正解なのだろう。
なぜ今まで、こんな気持ちで受け止められなかったのだろう…
「勿体ない」と思う気持ちはもしかして、全てを否定してしまうのかな。
今回の淘汰。私は親のルンバと共に何かを手放し、そして親への大事な何かを得たのかもしれません。
まず意見をするのは止めて、感謝だけを伝えよう。
文句を言いつつ、直に触れ合えたのは過去のこと。
遠く離れ、今は言葉でしか寄り添えないのだから。
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